古い場所での新しい始まり

イギリス国旗

橋本 小百合
(グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国)


朝の鴨川

朝の鴨川

賑やかな鴨川

賑やかな鴨川

京都は私にとって新しい始まりの場所でした。ここに引っ越してきたのは4年前、大学入学のためでした。以前はド田舎としか言いようがない場所で暮らしていて、 京都駅で高速バスから最初に降りた時の畏怖の気持ちは今でも覚えています。 新幹線が目にも止まらぬ速さで走るのを駅の外から眺めた当時の記憶が鮮明に残っています。新幹線は京都を通っていた!私は、「京都は間違いなく都会なのだ」と確信しました。そして、都会らしい経験がたくさん私を待っていると思いました。

私は日本の多くの都市を訪れましたが、一つ言えるのは、京都は「ジュヌセクワ」*1を持っています。そのフレーズから伺えるように、京都の「イット・ファクター」*2が何か正確に指摘し辛いですが、あえて言うとしたら、古いものと新しいもの、過去と現代の融合だと思います。京都の混んでいる大通りを歩き、多数の店の中から一つの店でショッピングをしていても、ふらっと裏道に入り散策すると、急に違う時代にタイムスリップしたかのような気持ちになります。

京都での長いようで短かった4年間では、見るべきものはほぼ見てきました。伏見稲荷大社の千本鳥居を通り抜けたし、金閣寺の人混みに紛れ押されながら回ったし、二条城の歴史的意義も身に染みて感じました。けれど、一番印象に残る場所は?と聞かれたら、私は鴨川と答えます。面白いことに、いつ鴨川を見渡しても若者か大人のカップルたち、長い付き合いなのか新しくできた友達なのか、それはわかりませんが、いつも彼らは等間隔で座っています。一体何がこの現象を起こしているのかがわかりません。ただ単にパーソナルスペースの確保なのか。もしくは、作られた”秩序” を乱したくないのかもしれません。どちらにせよ、地元の人と観光客を共に惹きつける魅力を持っています。私の良き思いは、夜な夜な鴨川の土手に座りながら、友達とホットドリンク、または冷たいお酒を飲みながらあらゆることについて話していたものが大半です。不思議な落ち着きがある鴨川の水面の輝きは、まるで「なんでも話していいよ」って言っているかのようで。

川は確かに世界のどこにでもあります。鴨川がこの中でも特別に感じられる理由はきっとそのロケーション、京都であるということです。京都は私に田舎では味わえなかった都会らしい機会をたくさん与えてくれました。また、おしゃれなビルとお店、モダンな建物とは対照的に、日本の古都にしかできない、本物の「古」の日本も京都が見せてくれました。京都が教えてくれた「古」と「今」のギャップとこれらから学んだことは 一生忘れることはありません。過去と現代は平和に共存できるのです。私はもうすぐ京都を出て、他の場所でまた新しい始まりに向かいますが、一つ確実なことは、最後にもう一回鴨川を訪れ、「イット」な京都でできた素晴らしい経験を振り返ろうと思います。

*1:ジュヌセクワ(Je ne sais quoi):何か特別なもの、言葉にできない魅力
*2:イット・ファクター("it" factor):目に見えない特別なもの

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京都の秘密な桜

かんざし桜

かんざし桜

緑色の桜(御衣黄桜)

緑色の桜(御衣黄桜)

日本と言えば、美味しい料理、美しくて歴史的な建物とか、印象的なテレビ番組や映画などがあります。しかし、外国人にも日本人にとっても日本のイメージが強いものは桜です。桜は日本だけでなくて世界でも見られますが、日本では昔から桜が大切にされてきたので、日本の庭師は、芸術品に仕上げるため長い年月をかけてきました。京都は千年の都でしたから、清水寺や哲学の道と言った、とても有名な桜の見所があります。しかしながら、このような場所はいつも混んでいて、桜をゆっくり楽しむことが難しくなるでしょう。この記事では、私の友達が教えてくれた京都市の好きな秘密のお花見の場所を4ヶ所紹介します。これらの花見の場所はあまり有名ではないので、美しい桜が平和で静かに楽しめます。

私の秘密な桜の場所が嵐山地域にあります。最初には、嵐山公園から北東に3キロメートルぐらいのところにある、広沢の池です。 この池は千年前からある溜池で、その西には田んぼがたくさんあり、土手の上には美しく咲いた桜並木があります。ここでは、さらに桜の花を見ながら、素晴らしい池の景色を楽しめます。

二つ目の花見の場所は、広沢の池から東に300メートルぐらいある植藤造園という庭です。この庭は、佐野 藤右衛門さんと言う桜守によって造園されました。藤右衛門さんは円山公園にある有名な枝垂れ桜を育ててきた人です。植藤造園は、春に3回しか公開されていませんが、庭の壁の外から桜守の庭をよく見ることができます。

植藤造園から東に約10分程歩けば、宇多野ユースホステルが見えます。そして、このホステルから北東に歩くと、宇多野病院があります。これらの建物の周りにある庭には息を呑むほど綺麗な桜があり、宇多野病院には珍しい緑の桜が見られるのです。

有名な庭とか一般的な公共の建物とか、とても古い池かどうか、などには関係なく桜そのものに美の価値があります。あなたがこのような秘密の花見場所に行って、充分に楽しむことを願っています。評判がまだなくても、価値ある体験ができると思います。さて、この桜の季節の間、あなただけの花見場所をゆっくり探してみませんか。この古都に、一体それらはどれぐらいあるのでしょうか。

岩井 ニコラス
翻訳協力:岡山 和樹

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友禅染

工房の風景

工房の風景

寿司の型紙

寿司の型紙

出来上がった作品

出来上がった作品

友禅染は、17世紀に京都でうまれた日本の伝統的な布を染める手法です。宮崎友禅斎により始められ、彼の名前にちなんで名づけられた友禅染は、自然からヒントを得て美しいモチーフを作るために、幅広い色彩を用いています。

私は京友禅染体験をするため、二条城付近でワークショップをしている丸益西村屋を訪れました。丸益西村屋は18年前にオープンして以来、地元の人と観光客にアートを通して古い日本を拾い歩きしています。最初に、何をどう染めるかを決めます。たくさんの選択肢があるのでこれだけでも時間かかります!それから、どのモチーフをつけるかを選びます。お花から昔話に登場する妖怪まで、あらゆるモチーフの型紙を収めた本がたくさんあります。スタッフによると、京都らしいもの、舞妓さん、そして桜などが人気だそうです。染めるものと型紙を選び全てを固定したら、次は一番楽しいところ、実際に染めることです!友禅染が面白く、また西洋の絵を描くことと異なる点は、全てが薄められてぼかされるところです。荒々しさがなく、ダイレクトさもなく、繊細さに重点を置くところ、これ以上日本らしいことはあるのでしょうか。薄められた絵具は、型紙に書いてある順番に従い、円の形を描くようにキャンバスにつけます。フリーハンドで描く方もいらっしゃるとのことですが、直接手描きで描くやり方など種類は様々あり、順番付きの型紙を使うことによって簡単になり、誰でも綺麗な仕上がりになると、スタッフが説明してくれました。色を混ぜたり、グラデーションにしたり、型紙を色々合わせたりと、可能性は無限大です!

スタッフが教えてくれたように、友禅染はデリケートさや繊細さが日本らしく、魅力です。ぼかしが多く、はっきりしたものがない。そのような曖昧さは他では見つけづらい、アートだろうと文化だろうと。

京友禅体験工房 丸増西村屋
開館時間:午前9時~午後7時  (受付時間:午後5時まで)
http://www.marumasu-nishimuraya.co.jp
お問合せ:otoiawase@marumasu-nishimuraya.co.jp
TEL:075-211-3273

橋本 小百合(はしもと さゆり)

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衣食住行から体験した日本

ホストファミリーと一緒に

ホストファミリーと一緒に
(炬燵を楽しむ)

アメリカの大学で留学している中国出身の張です。現在京都でホームステイをしながら、短期留学をしています。今回はホームステイを通して、気づいた面白味があることを紹介したいと思います。

「衣」

日本では、多数の家屋には「セントラルエアコン」という全ての部屋を温めるヒーターがないそうです。私は、アメリカの寮やクラスルームで「冬でもTシャツで、ベッドに横になることができる」温度に慣れていたので、最初に日本に来て、ほぼ毎日風邪を引いていた状態です。しかし考えてみると、冬の時、暖房効果によって、夏のような26度の室内でTシャツを着るなんて、それはエネルギーの浪費じゃないのかと、気付きました。

「地球に対して、僅か総人口の20分の1だが、エネルギー消費量が総消費量6分の1を占めているアメリカのような国がもう一つの存在に耐えない」という言葉の重さを実感しました。省エネ意識を持ってる日本は実は地球を守っているという事実を発見したのです。

「食」

ホームステイ先のお母さんとお父さんは家庭菜園を楽しんでいます。毎回お父さんが収穫したばかりの白菜を部屋に持ち込むときの顔を見て、私もその牧歌的な生活の喜びを感じられるのです。お母さんが忙しい日によく作る料理は鍋料理です。冬は鍋物の美味しい季節ですよね。美味しいだしが出ている鍋の具材を食べ終わった後、そのだしのなかにご飯を入れて、卵を溶いて、ふたをして蒸らすことによって、一日疲れた体がパワーアップ。「あぁもう一日無事に楽しんで過ごした。また明日頑張れる。」和食の真髄が鍋料理から見つけられるかもしれません。

「住」

寒い冬の季節に重宝するのがこたつでしょう。炬燵(こたつ)でぬくぬくするのは日本だけの冬の風物詩なのではないかと思います。ホームステイ先のお父さんはよくこたつの中でテレビを観て、そのまま眠ってしまうことがあります。また、お母さんによると、以前この家に泊まった留学生がアメリカに帰った後、炬燵が懐かしくて、わざわざ寮の部屋にも炬燵を作ったというのです。炬燵はこんなに人類の心を魅了するものなのですね。じんわりと温もりながら、ちょっぴり寒さを味わうことができる贅沢なひと時です。

「行」

ホームステイ先は醍醐寺の近くに位置します。朝、通学へ向かう中ですれ違う人々に、私は時々「おはよう」と声をかけられることがあります。それは主に、朝早くから開店している八百屋さんや元気な小学生たちからです。

私は東京より、やはり京都の方が好きです。先月修学旅行の後京都に帰ってきて、通学でよく利用する馴染みの地下鉄東西線発車メロディーの「醍醐寺の鶯」を聴いて、親しみが生まれました。初めて「ただいま」という気持ちを日本で感じました。「普通」こそ生活の本質だと、私は、この京都でのホームステイ生活の体験で気が付くことができたのです。

張 翔宇(ちょう しゃんゆ)
翻訳協力:渡邊 薫(わたな べかおる)

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民泊新法、京都版

四条河原町界隈で外国人観光客と話しをして、どこに泊まっているのかと聞くと、Private house hotel(民泊)、それもshared room と答える人が多くなっています。とても安い上に、快適でアクセスが良い、という評価でした。ところが、大声を出したり、ゴミ出しで近隣住民とのトラブルが絶えない、その上に民泊の責任者が誰かも分からない、という苦情も住民からは聞こえてきます。更には、違法な民泊が多い、効果的な法律がない、行政の体制もない、という問題もあるようです。

これらの対応として、「民泊新法」が昨年に国会を通過し、これを受けて各自治体は地域の事情を踏まえた条例の制定にとりかかりました。この法律でこれまでホテルなどが無かった住宅専用地域にも民泊ができ、市民の生活に影響することが予想されるので、京都市でも民泊について広くオープンに市民に意見を聴きました。その結果、事業者はしっかり対応するのか、前もって説明があるのか、苦情に行政は対応するのか、などの心配が寄せられました。2018年2月23日に京都市の条例が可決されました。その主な内容は、観光客が少ない時期の1月15日~3月15日の間に限り民泊を運営でき、加えて事業者は民泊の運営に関して地域住民と協定を結ばなければならない、というものです。

一方、京都には留学生が多く、故郷から家族が会いにくるときの宿として、手頃な民泊は有力でしょう。そのときは、京都の魅力を説明することに加えて、地域住民と平和に過ごすというルールも忘れないで伝えて頂ければ嬉しいです。当然ながら京都市民はおもてなしをしますが、市民とルールを尊重いただければもっと歓迎してくれるはずです。

京都の平和で静かな生活を楽しみ、お互いに尊敬しあいましょう。

古田 富好(ふるた とみよし)

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kokoka news * * こくさいうりゅういかん ニュース

2018 春! kokoka おもてなし広場

QRコード
 

花もグルメも音楽も♪春のお花見はkokokaで楽しみませんか?
kokoka の日本庭園も一般公開!

  • ◆期間: 3月31日(土)、4月1日(日)、7日(土)と8日(日)
  • ◆時間:午前11時~午後4時 (万国屋台村)、午前11時~午後3時、午前10 時~午後5時(庭園*)
  • ◆入場無料
    * 日本庭園の一般公開期間:3月24日(土)~4月8日(日)、月曜日を除く
  • ◆お問合せ:(公財)京都市国際交流協会
  • ◆TEL:075-752-3010
  • ◆E-mail:office@kcif.or.jp

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京都市国際交流会館 図書・資料室 としょレター

オススメの一冊

『何がちがう?どうちがう? 似ている日本語』

何がちがう?どうちがう? 似ている日本語

佐々木瑞枝 著
東京堂出版、2017

「美しい」と「きれい」、「勝手」と「わがまま」「知る」と「分かる」、「ぎっしり」と「ギューギュー」「むちゃくちゃ」と「めちゃくちゃ」…。

日本語には意味が似ている言葉がたくさんあります。みなさんはその言葉の使い分けがちゃんとできていますか。ぜひこの本を読んで、使い分けをマスターしてください。イラストがついているので理解しやすいと思います。

『京都の路地裏図鑑』

過ごしやすい春の季節がやってきました! 4月から京都で生活を始めた方も多いと思います。京都の街、出歩いてますか。

『京都の路地裏図鑑』( 路地裏研究所 編、コトコト、2013)には京都の路地がたくさん紹介されています。いつも大通りだけ歩くなんてもったいないですよ。路地にこそ、何度も通たくなるお気に入りのお店があったりするものです。

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今号を作ったボランティアのみなさん

編集メンバー

生田 稔 / 岩井 ニコラス / 岡山 和樹 / 金谷 千菜美 / 鈴木 翔一朗 / 鈴木 秀利 / 野口 理加/ 橋本 小百合 / 古田 富好 / 丸山 徹 / 八木 俊幸 / 湯澤 公朗 / 林 秀鳳 / 渡邊 薫 / 張 翔宇

WEB版作成

鈴木 秀利

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