人生と書道

オーストラリア国旗

ポール・ディニング(オーストラリア)


ポールさん

ポールさん

私は55歳で、新見知ふみ先生の書道教室、「カリグラフィー京都」の生徒です。このことは特別な機会です。若かった時は、人生は違ったものになるはずでした。

私の家族は何世代にもわたる建築業でした。大きくなって、私は父の大工仕事を手伝いました。しかし、17歳の時に国家公務員になるための試験に受かったので、建築の道に進むことも大学に入ることもしませんでした。35歳の時に、私はテレビ業界に転職しました。テレビの仕事を通じて、私は42歳で初めて大学に入学しました。さらに、私は単純に仕事と学業を両立しました。

50歳になって、私は自分の人生に別の機会があり、その時間は短いことに気が付きました。多くの人は定年退職が働く人生の突然の終わりだと考えるということも知っていました。多くの場合、彼らは働く以外にどのように生きたらよいか思いつかないのでした。彼らはなぜ職場のことを忘れるのでしょうか?いつ彼らは花や雲を忘れることができたのでしょうか?このことは私には関係ありませんでした。

そういうわけで、私は留学して修士号を取ることを始めました。これまでに、私は大学でメディアを学んでいる学生にテレビの機材を提供する仕事をしていました。留学生たちと共に働くにつれて、心の中で新しい夢が浮かびました。50代で留学生になってはいけない理由なんてあるのでしょうか?決断を出すのはとても単純なことでした。

2015年3月に「SNSにおける写真での自己表現」という修士論文を完成させるために京都にやって来ました。自分が何を書いたかは理解していませんが、良い成績がもらえました。論文は英語で書きました。日本語のスキルも欲しかったので、次は一年間日本語学校で挑戦しました。優等生ではなかったことを申し訳なく思っています。今年はさらに頑張ります!

京都で私が通っていた大学と日本語学校は素晴らしい学校でした。これまで出会った人たちは私の人生に良い影響を与えてくれました。私は日本に来て、さまざまな国から来た友達がいます。友達はいつも感動を与えてくれます。年上の学習者として、教室はいつも楽しい場所だと思います。他の年上の日本語学習者に会うと、彼らの新鮮な考えが学べるので素晴らしく思います。

しかし、なぜ私は書道を学んでいるのでしょうか?

シドニーに戻り、一人の日本語の先生が料理と習字の補講を開いていました。彼女の夫が素晴らしい書道の作品を制作し、私たちが漢字の知識を増やすのを根気よく手伝ってくれました。私は書かれた文字を見て、1960年代、子供の頃に好きだったテレビ番組「隠密剣士*」を思い出しました。習字は新しいのと同時に懐かしいものでした。私は文字のひとつひとつに意味があると感じました。

ポールさんの作品

ポールさんの作品
『あしたがある』

このことは芸術実践を行うために自分をさらけ出した瞬間でした。私は子供のころから活発な写真家でしたが、カメラを持つことと筆を持つことは違います。心と半紙の間に手と筆と墨があります。恐ろしいほど素晴らしい!私はもっとやりたくなりました。

私は書道の先生を探す一方で、その学校で習字の勉強を続けました。私は生涯を通して懸命に働くだけでした。なので、私は芸術を選んで教室を探していることに自分でもびっくりしています。

普通に働いている人が芸術の道に行くのでしょうか?私でもよくわかりません。ですが、私は筆を握り、自分探しをしています。

知ふみ先生は私と他の生徒たちを書初め展に出展するように促しています。皆さんも是非来てください。

私の半切半紙の掛け軸の作品は「清風動脩竹(せいふうしゅうちくをうごかす)」です。気分がさわやかになり、竹の葉がはためく様子が多くの友人と京都がもたらす心がさわやかになるような風を思い出させます。

色紙の作品は「あしたがある」です。これは私の怠けた習慣へのジョークであり、1960年代の人気歌手、坂本九さんを思い出させるものです。しばらくの間、彼はオーストラリアでも人気がありました。彼は偉大な人だと思いました。私は彼の映画をいつか見てみたいです。この歌は私たちに今を生きる気にさせてくれます。私たちが恐れてチャンスを失ってしまったら、本当に明日になってしまいます。もちろん今の方が良いです。ですが、もしも今がなければ、今起きている問題は意味のないものとなってしまいます。

京都に住んで、私は最も幸運な人間なのだと感じます。京都とオーストラリアの友達はとても協力的です。私はあの有名な東海道沿いに住んでいます。私は日本をあちこち見て回り、筆を通して自分を見つめる機会としています。

オーストラリアに行ったことのある日本人の読者は、初めて海の波に飛び込んだ時に、このようなことを感じたのではないでしょうか?オーストラリアには、“The Swimmer”という詩があります。書道を通していつかその考えを探ってみようと思います。

頑張ります!

YouTube: https://youtu.be/ZdTodBP7OcE

*1964年オーストラリアで空前のブームを起こした日本の時代劇

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日本のバレンタインデーとホワイトデー

日本ならではのバレンタインとそのお返しの習慣 

バレンタインチョコレート

バレンタインチョコレート

あなたはきっと、日本人が2月14日のバレンタインデーと、その対になるホワイトデーの日に、どのようにお祝いをするか、もう聞いたことがあると思います。多くの西洋の国々では、人々はバレンタインデーの日には、気になるあの人に自分の気持ち(たいていは好きだという気持ちです)を伝えます。カップルであれば、お互いの愛を、クラスメートや友達、仕事の同僚であれば、お互いの友情や思いやる気持ちを確認しあいます。そのやり方は、バレンタインデーカードや、花やチョコレートといった贈り物を交換しあうのが一般的です。

日本におけるバレンタインデーの伝統は、1950年代に始まり、1960年代には広く普及したようです。そして1970年代になると、チョコレートを売る会社にとっての大きなビジネスになりました。こうした会社は、バレンタインデーの日には、女性がチョコレートを男性にプレゼントする日なのだという考えを広め、それが今では当たり前のことになりました。この習慣は、男性に敬意や尊敬を表すのであり、恋愛感情を表すものではないようです。この種のチョコレートの贈り物は「義理チョコ」として知られています。これらは男性の上司、同僚、あるいは特に恋しているわけではない人々、そして時には父親や息子にも配られます。また、そのすぐ後には、「本命チョコ」を、意中の男性に渡し、愛を告白したり表現したりする習慣が生まれました。こうしたチョコレートは西洋におけるバレンタインデーカードにあたりますが、日本では、女性だけが、夫、彼氏や、将来伴侶になるかもしれない人に渡します。自分の本当の気持ちを表すために、本命チョコはたいていの場合、店で買うのではなく手作りします。

現在では、バレンタインデーのチョコレートにはほかにも種類があるようです。その一つが「友チョコ」で、たいていの場合、女友達の間で交換しあいます。そのほかには「自分チョコ」というのがあり、これを作ったり買ったりするのは自分一人で食べるためです!最後に、「逆チョコ」というのもあり、これは西洋の国々のように、男性から女性に配られるチョコレートです。

もちろん、ちょうど1ヶ月後の3月14日にやってくるホワイトデーは、日本独自の習慣です。この日が作られたのは1978年のことで、1980年代になって広く普及しました。これはおそらく、日本の「お返し」の文化的・社会的な決まり事に目を付けた、バレンタインデーに続くもう一つのマーケティング戦略によるものでしょう。日本では、受けた贈り物に対し、お返しに贈り物をすることが習慣になっているのです。ときには「三倍返し」と言って、贈り物をくれた女性に対し、その価値の三倍にあたるお返しをすることもあります。贈り物には、チョコレート、クッキー、花、宝石、ブランド品など、男性の気持ちや期待、あるいは予算に合わせて、様々なものが選ばれます。

というわけで、日本の2月と3月に行われる習慣について知ったところで、あなたが男性でも女性でも、甘い贈り物と誰かのことを大切に思う気持ちに乗せて、あなた自身の心を伝えてみませんか。

Karl Jansma
翻訳:Sho

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「伝統産業の日」
  京都の伝統工芸品に親しむチャンス


みやこめっせでの展示の様子

みやこめっせでの展示の様子
(写真提供:京都市)

京都には織物や染物、漆器、陶磁器など、たくさんの伝統工芸品があります。全国的に見ても、これらをつくる産業(伝統産業)の中心地と言えるでしょう。その理由は、京都が794年から1000年以上ものあいだ都(首都)だったことと関係があります。天皇をはじめ、大勢の貴族や力のある武士が住んでいた京都では、彼らのために美しい着物や、最高級の生活道具がたくさん作られていたのです。また、神社や寺が多く、神官や僧侶の衣装や儀式に使う調度品、仏壇などが多く必要とされました。茶道や華道、香道などの文化も京都で発展してきたため、これらに使う茶碗などの道具も、洗練されたものが求められました。このように質の高いものを多数作るため、京都の伝統産業の技術は発達し、デザインのセンスは磨かれてきました。そして現在まで人々の伝統的な暮らしや行事、文化を支えてきたのです。

京友禅

京友禅
(写真提供:京都市)

現在、京都市内には、国や京都府・京都市から認められている伝統工芸品が74品目(種類)あります。例えば、西陣織(織物)、京友禅(染物)、京仏壇、京仏具、京漆器、京指物(木工芸)、京焼・清水焼(陶磁器)、京扇子、京人形などです。

これらのすぐれた工芸品をもっと多くの人に知ってもらうため、京都市は独自に「春分の日」(3月下旬の祝日)を「伝統産業の日」と決めました。この日を中心に、3月は伝統工芸品の作品展や特別なイベントが市内各地で開催されます。メインとなるのが、左京区の展示場「みやこめっせ」で開かれる大規模な催しで、たくさんのお客さんや職人さんでにぎわいます。

着物

着物
(写真提供:京都市)

「伝統産業の日」関連事業として、着物を着ると、二条城などの文化施設に無料で入場できるサービスもありますよ。(無料券が必要。詳しくは「伝統産業の日2017」パンフレットか、公式Webサイトを見てください。パンフレットは市役所や区役所、美術館などで手に入れることができます。)

ぜひこの機会に出かけて、京都が誇る美しい手仕事の数々を楽しんでください。伝統的で優雅なデザインはもちろん、緻密な職人技にきっと魅了されることでしょう。

「伝統産業の日」イベントinみやこめっせ
日時:2017年3月18, 19, 20日
場所:京都市勧業館(みやこめっせ)
京都市左京区岡崎成勝寺町9-1
内容:熟練職人や若手職人の作品展示、職人の制作実演、販売、制作体験、舞妓舞台など
入場料:無料

「伝統産業の日」公式Webサイト: http://densannohi.com/

藤田 リサ(ふじた リサ)

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冬においしい「湯豆腐」

栄養満点の鍋料理 

湯豆腐

湯豆腐
(写真提供:八千代)

日本では、鍋で色々な具を煮る「鍋料理」が冬の名物のひとつです。その中から、今回は「湯豆腐」を紹介します。

湯豆腐の始まりは、南禅寺のお坊さんが食べていた「精進料理」という、肉類を使わない料理だと言われています。最初は今と違い、焼き豆腐を使った今のおでんに似た料理だったそうです。

豆腐はその成分の多くが水でできており、それに必要な質の良い地下水が多いことが、京都で豆腐料理が多く作られた理由のひとつといわれています。今でも南禅寺や、嵐山の天龍寺の近くには多くの湯豆腐屋さんが並んでいます。

田楽

田楽
(写真提供:八千代)

作りかたは、鍋に水、昆布、豆腐を入れて火をつけ、煮えて少ししたら豆腐を取り、ダシ(たれ)と薬味をつけていただきます。最近ではおうちでも気軽に食べられる「湯豆腐のたれ」を売っていますが、お店では職人さんたちがこだわりと技を生かして、多くの手間と時間をかけて作っているのです。また薬味とは豆腐にのせる「スパイス」のことで、鰹節、海苔、すりおろした生姜、刻みネギなど が一般的です。

豆腐は消化が良く、良質のタンパク源ということもあり、最近では欧米をはじめ海外でも「健康に良 い食品」としての人気が高まっており、多くの外国人観光客が豆腐を食べに来ているそうです。

スーパーなどで普通に売られている材料でも作ることができるので、この冬は「湯豆腐」で、温まってみませんか。

丸山 徹(まるやま とおる)

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京都の桜便り

京都の桜を楽しもう 

御所西北

写真①:御所西北



鴨川出町橋

写真②:鴨川出町橋


桜が開花から満開になる時期は、ソメイヨシノを例に取ると、京都の場合3月末から4月初めで、その期間は1週間と短いです。ところが、これは桜の種類がソメイヨシノの場合で、他の品種を含めれば1ヶ月近く、桜を楽しめます。京都には観光名所のみならず手軽に行ける所で見ることができます。2016年の満開時期に撮影した写真をご覧ください。品種と場所は下の通りです。

①3月25日:枝垂れ桜、御所内の西北
 ②4月5日:ソメイヨシノ、鴨川の出町橋の北
 ③4月12日:山桜、大文字山
 ④4月14日:八重桜、御所建礼門の前
 ⑤4月15日:枝垂れ桜(遅咲き)、植物園の西

桜の開花時期は気候により、早くなったり遅くなったりしますが、数日の範囲です。1ヶ月近く、桜の満開を皆さんもご一緒に楽しみませんか。

大文字山

写真③:大文字山

御所建礼門

写真④:御所建礼門

半木の道

写真⑤:半木の道


古田 富好(ふるた とみよし)

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kokoka news * * こくさいうりゅういかん ニュース

第3回 グローバルセッション
~地域における多文化な「居場所づくり」を考える~

人が、自分らしくいられ、他者とつながりを持てる「居場所」はとても大切なものです。今、都市化や家族形態の変容等に伴い、学校や職場、家庭だけでなく「地域での居場所」の必要性が問われています。今回の催しでは、「地域」で孤立しがちな在住外国人をはじめ、外国にルーツを持つ人々にとって「地域での居場所」が一層大切なものであるという観点から、男女、高齢者、若者/子ども、障がい者など様々な視点からその現状を共有し、これからの「多文化な地域づくり」について考えます。

  • 主 催:きょうと多文化支援ネットワーク / (公財)京都市国際交流協会
  • 場 所:kokoka京都市国際交流会館 特別会議室
  • 対象者:一般市民 (定員50名 要事前申し込み)
  • 参加費:無料
  • 内 容:講演と分科会(日本語のみ)

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京都市国際交流会館 図書・資料室 としょレター

オススメの一冊

『全国プラネタリウムガイド』

全国プラネタリウムガイド

日本プラネタリウム協議会 監修
恒星社厚生閣、2015

みなさん、“日本はプラネタリウム先進国!”ということをご存知でしょうか。日本はプラネタリウムの数がアメリカに次いで2番目に多いんですよ。

この本では、全国にあるプラネタリウム館の職員みずからが、自館の魅力を存分に紹介しています。

この寒い冬の季節、ロマンチックにプラネタリウム鑑賞はいかがですか。

『世界の鍋 いつもと違うごちそうレシピ厳選 29』

冬はやっぱり鍋料理!『世界の鍋 いつもと違うごちそうレシピ厳選 29』(服部 直美 著、情報センター出版局、2009)では、世界29 エリアの鍋レシピが紹介されています。

ほかにも、鍋料理ではなく「鍋」本体に焦点をあてた“世界の鍋コレクション”や、世界の調味料を紹介したページもありますよ。

見ているだけでも体が暖まる、そんな一冊です。

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今号を作ったボランティアのみなさん

編集メンバー

生田 稔 / 伊東 志麻 / 王 月瑋 / 王 暁琴 / 大薮 俊一 / 亀田 千明 / 金谷 千菜美 / 黒澤 智 / 鈴木 翔一朗 / 鈴木 秀利 / 陳 慕薇 / 西村 誠 / 藤田 リサ / 古田 富好 / 丸山 徹 / 水江 加奈子 / 山下 元代 / 湯澤 公朗 / Karl JANSMA

WEB版作成

金谷 千菜美

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