夢の能舞台

flag of Austria

フェルディナンド・シェレンバッハー(オーストリア)


フェルディナンド・シェレンバッハー

フェルディナンド・
シェレンバッハー

京都に留学中、私は、日本らしい物事があれば、どこにでも出かけ見聞きした全ての知識を、何としてでも自分の物にしたいと思っていました。その後、大学で教えるようになると、そんな時間も少なくなり仕事をしながらではほんの少しの興味ある物だけに制限しなければなりませんでしたし、古くから受け継がれてきた日本芸術の知識を広げていく時間の余裕は、もうこれ以上はないと気が付きました。しかし、今は日常業務から解放されてホッとしていますが、最近になって、茶の湯、日本画、生け花、能などとの度重なる出会いがあり、これまで、僅かな知識しかなかった能に、特別な魅力を感じるようになりました。この頃の能との出会い全てが、この極めて特有なこの国の芸術に対する私の興味を強く引きましたが、その内の一つが、まさに決定的な出会いとなったのです。では、その話をいたしましょう。

例年のように、休暇で帰っていたオーストリアから、京都に戻るとすぐ、能「巴」の公演のことを聞きました。私は見に行き、今までで最高の日本文化の一つを体験しました。能は、それ自体、魅力あるものですが、この「巴」は女武者「巴御前」と、主君であり、愛する人でもあった武将「木曽義仲」との、とても悲しい物語です。彼らの軍勢は敗れ、義仲は退却中に傷つき、このような状況から逃れる見込みは全くなく、こうした場合なすべき名誉ある事は、武士の作法に従った自殺、すなわち切腹だけでした。巴は当然、彼と共にその場に留まり切腹しようと思っていました。しかし彼は許さず、そこから脱出するように命じました。彼女は彼の命令に従うしかなく、彼との死を禁じられた絶望感を、どうしても乗り越えることができなかったのです。巴の死後、その魂は心の安らぎを得られないまま亡霊となって、この世をさまよい続けました。

能

私が大きな感銘を受けたのは、ただその物語からばかりではなく、その季節、場所、その場の雰囲気からでした。

能「巴」の公演は、京都の東山の辺りが真っ赤に色づいた、紅葉真っ盛りの11月22日に修学院離宮近くの、とある能舞台で行われました。その舞台は、後ろに光り輝く紅葉の木々を従えて、美しい日本庭園の中程にあります。庭の入口には、わら葺屋根の門が、また中には、見事な茶室もあります。

公演が始まった時は、まだ明るかったのですが、間もなく日が沈み舞台の両側には、かがり火が焚かれました。夜が更けるにつれて、その明かりと燃える松の香が、この場にぴったりの不思議な気配を漂わせていました。能楽師たちは、そのような雰囲気の中でとても上手く演じ、女主人公の嘆きを、私は直に心で、深く感じていました。その能は、巴の亡霊が槍を手に多くの敵を追いかけ、撃退する合戦の場面を、思い起こさせる、真に迫った激しい踊りで最高潮に達したのです。

最後に、観客を感動させたのは巴が、亡くなった義仲をそこに残したまま、彼の着物一枚を形見として持ち、旅立つところです。演者がその形見の品を胸に抱きながら、巴の深い悲しみを、どのように分かり易く示したのか、その演技を見た人は皆、心を捉えられていました。

庭園

あの公演以来、私はあの時の能「巴」や能舞台そして庭園が大好きです。能舞台の由来を知ってからは、なおさらなのですが・・。しかし、この場でそれを明かすつもりはありません。もし私の話で好奇心が目覚めたのなら、思い切って日本クリスチャン・アカデミーが運営する「関西セミナーハウス」の庭にある、その能舞台を訪ねてごらんなさい。白川通りから東に入って、一乗寺にある曼殊院の正門を北側(左)に曲がり、右側にある寺の駐車場を通り過ぎて行けば、近くにあります。受付で許可を貰えば、日本庭園や能舞台などを無料で見ることができます。また、能に興味があれば次の公演予定を、そして能舞台の歴史についても尋ねてみては如何でしょう。

訳:Koh

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目指せJリーグ アミティエSC京都

アミティエSC京都

ガオ太郎

今年はサッカーのワールドカップの年ですね。サッカーは日本でも人気のあるスポーツです。ところで、日本のサッカーはJリーグを頂点とした多くの段階のリーグで構成されています。全国に9つある地域リーグもそのひとつで、関西には関西サッカーリーグがあります。関西サッカーリーグには1部と2部を合わせて16チームありますが、今回はその中から京都のチームである「アミティエSC京都」をご紹介したいと思い、試合を観に行ってきました。

アミティエSC京都は2010年から関西サッカーリーグに参加していて、2012年に優勝するなど、常に好成績をあげています。アミティエSC京都が他のチームと違うところは、選手が全てスポーツスクールのコーチだということです。選手たちは普段、子どもたちの指導をしています。そして、試合では自らが選手としてプレーする姿をその子どもたちに見せることで、子どもたちの目標となっています。これが強さの秘密かもしれません。

また、チームには韓国籍の選手もいます。その1人、金秀奎(キム・スギュ)選手にお話をうかがったところ、金秀奎選手は京都出身で、子どもの頃にお兄さんの影響でサッカーを始め、それからずっとサッカーを続けてきたそうです。そして昨年、大学卒業後、地元のアミティエSC京都に入団したそうです。金秀奎選手は「体が大きくなくても、努力次第で成長して上を目指せるのがサッカーの魅力」と話していました。また、自分のプレーについては「強い気持ちと他の選手より多く走り回れる持久力に自信がある」とのことでした。

さて、試合の様子ですが、客席にはファンが愛情を込めて書いた手書きの横断幕が飾られ、その横でファンが熱い声援を送っていました。普段は200人ぐらいお客さんが来るそうです。また、マスコットの「ガオ太郎」もファンの皆さんを楽しませていました。試合後には選手とファンが一緒に集合写真を撮るなど、選手とファンの距離が近く、ひとつの家族のような雰囲気もありました。

将来、アミティエSC京都がJリーグへ昇格する日が来るかも知れません。皆さんもアミティエSC京都の試合を観に行きませんか。試合日程はアミティエSC京都のホームページでご確認ください。

アミティエSC京都:http://www.amitie-sc.com/top-team/
関西サッカーリーグ:http://kansaisl.jp/

鈴木 秀利(すずき ひでとし)

アミティエSC京都

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祇園祭 2014 後祭と大船鉾の復活

山鉾

私は京都の繁華街、四条烏丸にあるオフィスで仕事をしています。オフィスの周りには、祇園祭(※1)鉾町(※2)が沢山あります。7月10日からは山鉾(※3)の組み立てが始まるので、オフィスを出て少し歩くと、それぞれの鉾町で山や鉾が組み立てられてゆく様子を見ることができます。また、7月17日の午前中に四条通に行くと、祇園祭のクライマックスである山鉾巡行を目の前で見ることができます。

今年の山鉾巡行は昨年までと違うところが二つあります。一つ目は、後祭が復活することです。このことにより、山鉾巡行の日程は7月17日(前祭)と24日(後祭)になりました。祇園祭が始まった時から1966年まで、山鉾巡行は前祭と後祭に分かれていましたが、1967年から昨年まで、7月17日に全ての山鉾の巡行が行われていました。後祭が復活するので、私たちは今年から山鉾巡行を2日楽しむことができるということになります。

山鉾

二つ目は山鉾のひとつである大船鉾が、鉾の形で再び巡行することです。大船鉾は1441年に建立されましたが、戦乱や火事によって三度焼失し、その度に大船鉾の再建と巡行の復帰への取り組みがされました。そしてついに、大船鉾は2012年に御神体を木箱に納めて運ぶ「唐櫃巡行」として山鉾巡行に復帰し、今年からは鉾の形で再び巡行することになりました。祇園祭の山鉾にはそれぞれ意味がありますが、大船鉾は戦に勝って帰る船を表します。そして、大船鉾は後祭の最後に登場します。

私は今年の山鉾巡行が昨年までと違った楽しみ方ができると思うので、今年も巡行を見に行きたいと思います。

*1:祇園にある八坂神社のお祭り。期間は7月1日から31日までの1ヶ月。
*2:祇園祭で巡行する山と鉾が保存されている地域。
*3:山車の一種。大きさ等によって呼び方が異なる。

金谷 千菜美(かなや ちなみ)

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京町家の衣替え

現在では少なくなりましたが、京都には京町家があります。京町家とは、京都の伝統的な民家、商家の建て方です。日本では季節によってタンスの中身を入れ替えますが、これを衣替えと言います。京町家では、座敷などの建具類も夏にはすべて入れ替えます。

京都は盆地の中にあり、また平安京が建てられる前はぬかるんだ湿地でした。そのため、「京の油照り」と言われるほど夏の蒸し暑さが厳しいです。鎌倉時代(12世紀〜14世紀前半)の随筆家、吉田兼好はその著書『徒然草』の中でこう述べています。「家の建て方は夏を中心に考えたほうがよい。冬はどんなところにも住むことができる。」厳しい京の暑さに対応するため、京町家には様々な工夫が凝らされています。

夏

他の季節

他の季節

梅雨時は「畳」もじっとりと湿気を含み、うっとうしい毎日が続きます。祇園祭を迎える頃、障子やふすまをしまい、竹やよしでできた「葦戸」に替えます。畳の上に籐でできた敷物「網代」を敷き、鴨居から「簾」を掛ければ「夏屋敷」が完成します。

京町家には奥庭(陽の庭)(*1)と中庭、坪庭(陰の庭)(*2)があります。日当たりの違いから気温差ができ、自然と空気の流れが生まれ、「葦戸」と「簾」を通って奥の座敷へと風が届きます。室内に風を通すことで気温を下げ、湿気も逃し、夏の涼しさを作り出します。また、籐でできた「網代」の冷たい感触が、素肌から直接涼しさを伝つたえます。

京町家は間口が狭く、奥行きが長いことが特徴で、「うなぎの寝床」とも例えられます。そのような京町家の建て方は、風通しを良くし、太陽の光を取り入れるために創り出されました。

祇園祭では、先祖伝来の屏風など美術品を祭の見物客に披露する「屏風祭り」も行われます。京町家もあるので、中の様子を見ることができます。京都は季節感あふれる街です。京町家からも、季節の移り変わりを感じてください。


*1 奥庭:座敷から鑑賞するための庭。通風と採光を良くする役割があります。また、隣接する各家にも奥庭があるので、それらが全体でグリーンベルトの役割も果たします。
*2 坪庭:間口が狭く、奥行きが長い京町屋に、風通しを良くし、太陽の光を取り入れるために設けられた庭。夏に水を撒くと、ひんやりとした空気が部屋に流れ込みます。

生田 稔(いくた みのる)、岡本 裕子(おかもと ゆうこ)

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自転車ルールを守りましょう

京都の移動手段としては、自転車が便利です。交通渋滞の時でも、狭い路地でも、スイスイです。自動車と比べ価格は安いし、ガソリンも要らず、環境に優しい乗物です。また、最近、増えてきた電動アシスト自転車は、電気だけでは動かず人力が組合わさって動き、スピードが出過ぎないなど、安全に設計されています。ただし、いずれも車両ですので、道路交通法を守らなければなりません。一旦停止・夜間点灯など、自動車と同様です。スピードは控え目にし、急な方向転換と急停車は避ける、といったことも自動車と同様です。幼児をチャイルドシートに乗せるときは、ヘルメットをかぶらせるようにしましょう。道路交通法は、昨年2013年12月に改正されました。自転車に関しては、道路の右側にある路側帯を走る逆走が今回の改正で禁止されました。違反すると、数万円以下の罰金もしくは数ヶ月以下の懲役、飲酒運転となると100万円以下の罰金となります。

看板

京都府警が報告している2013年度における事故パターンは、交差点で約60%、自動車との衝突は70%近くです。自動車にはミラーがあるとはいえ、死角もあり、自転車が見えないこともありえます。自転車は、原則、車道を走らなければなりませんが、大通りの歩道には自転車道路もありますので、利用すれば安全です。やむを得ず歩道を通行するときは、自転車を降りて押しましょう。歩道では歩行者優先であり、とりわけ、老人・子供・障がい者には、十分に配慮しましょう。このように便利なのは良いのですが、京都市は放置自転車に悩まされています。良好な都市環境の為、1985年に自転車等放置防止条例が制定されました。放置して邪魔になると市が判断すると、撤去し保管し期限が過ぎると処分することができます。返して欲しければ、2,300円を払わなければなりません。一方、駐輪場設置の法制化が進められ、ターミナル近くでの公的駐輪場はもとより、大規模施設には駐輪場が設置されてきています。これらは、込んでいるときもありますが、通常は空いていますので、利用することをお勧めします。視覚障がい者のための点字ブロックにかかって停めている自転車も、しばしば見受けられます。一時停めるときも、通行の妨げにならないように駐輪しましょう。

事故防止という点からは、自転車の手入れも怠ってはいけません。サドルの高さ・タイヤの空気圧・ブレーキの状況・チェーンなどは、乗車前に自転車を一周して、点検しましょう。走行後には、タイヤの空気・ハンドルのがたつき・ブレーキの効きなどを早めにチェックし、異常が見つかれば、詳しい人か自転車店に相談した方が良いでしょう。

自転車ルールを守り、良き運転者になりましょう。

古田 富好(ふるた とみよし)

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2014年サッカーワールドカップを
kokokaで観戦しましょう。

テレビ
ココカ

時差などで見られなった試合、もう一回見たい試合の再放送をkokokaに設置された大型テレビで上映します。


スケジュールをこちらで確認して、ぜひ来てください。
http://www1.nhk.or.jp/sports2/onair/onair_week5.html?cate_id=all

kokoka news * * こくさいうりゅういかん ニュース

外国人のためのカウンセリング・デイ

法律、ビザ、税金、保険や年金などについて、わからないことはありませんか?心の悩みを抱えていませんか?専門家がみなさんの相談に、お応えします。通訳者もいます。事前に予約してください。

◆日時:6月21日(土)午後1時〜5時
◆場所:場所:kokoka 京都市国際交流会館 3F 会議室・相談室
◆申込:075-752-3511

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京都市国際交流会館 図書・資料室 としょレター

オススメの一冊

『Wonderful Planet!』

Wonderful Planet

ツィート&メッセージ:野口聡一
写真出典:JAXA / NASA
集英社インターナショナル
2010

いつもと趣向を変えて、今回は写真集を紹介しましょう。

この本には、宇宙飛行士の野口聡一さんが宇宙に滞在する間に撮りためた、地球の写真が収められています。地球からでは到底見ることのできない景色が見られますよ!例えば、富士山やナイアガラの滝を、真上から見た人はいますか??テレビや近くで見るのとは違う景色がそこにはあります。

どんなことも、見る角度を変えれば、新たな一面に気づくことができるのかもしれません。

UNDERWATER DOGS

もうひとつ写真集を紹介します。『UNDERWATER DOGS』は、タイトル通り、水中の犬の写真集です。地上ではとってもかわいい犬たちが、ボールやおもちゃを追いかけてプールに飛び込む姿は、まるでモンスター!気持ち良さそうに泳いでいるので、こちらも水浴びしたような気分になりますよ!

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今号を作ったボランティアのみなさん

編集メンバー

生田 稔 / 大原 学 / 岡本 裕子 / 金谷 千菜美 / 亀田 千明 / 鈴木 翔一朗 / 鈴木 秀利 / 中川 理美 / 古田 富好 / 山下 元代 / 湯澤 公朗 / Juan VACA / Karl JANSMA / Kevin ROBERTS / Megan ROBERTS / Michiru ONIZUKA /

WEB版作成

鈴木 秀利

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