京都駅の隠れた素敵なところ

flag of Ireland

タラ・ケネディ(アイルランド)


タラ・ケネディ

私の京都への最初の旅は、2012年の初夏でした。アイルランドから日本へのフライトはとても長かったです。ほぼ24時間かかりました。京都に行くことに心が躍り、一睡もしませんでした。疲れ切った旅行者として京都駅に着き、夜中に到着する他のほとんどの旅行者と同じく、タクシー乗場を見つけるために、出口を急いで通りました。京都駅は余り印象になくて、単にだだっぴろく、迷子になりやすそうな場所だと感じただけでした。1週間後、東京への新幹線に乗るために戻ったとき、駅は活気にあふれていて、あちこちに向かう大勢の人波に見とれてしまいました。しかし、その日は新幹線に乗ることにわくわくして、新幹線の先頭車両の傍らで得意げに写真を撮ってもらうことに頭がいっぱいだったのでホームに急ぎました。その日から、京都駅は広大な場所で、多くの路線が駅に連絡しているだけでなくて、ホテル・3つのショッピングセンター・劇場・美術館も収容していることを知りました。

京都駅・大階段

その年のうちに、仕事をしに京都に戻り、暮らすようになりました。ある日、友達と嵐山で長いハイキングの後、京都駅行きのバスに乗りました。というのは、京都では、いまだ日が浅くて家路がはっきりしなかったので、そこには観光案内所があり、家に帰る最も安全な方法だと思ったからです。この場所を探検する絶好の機会としてその時を逃さないことを決心しました。

駅への入口で、「スカイガーデン」という標識を見ました。以前は、全く気が付きませんでしたが、どこか好奇心を惹かれました。2、3のエスカレータに乗って、“Welcome to Kyoto (ようこそ京都に)” という言葉でライトアップされた大きな階段を見て、嬉しくてびっくりしました。すばやくエスカレータを降りて、この素晴らしい光景を写真に撮りました。それから、駅屋上への171段の階段を昇りました。屋上への途中、以前はどうして見逃したのだろうかと考えこみました。屋上に着いて、素敵な小さなオアシスを見てとても驚きました。この12階の隠れた素敵なところは、駅とは全く対照的です。ベンチと木もあるくつろげる静かな場所です。地上、約60メートルで、街の素晴らしい景色を眺望することができます。駅の南側には、日本で最も高い仏塔である東寺の五重塔が見られ、駅の北側には、京都タワーを見ることができます。階段でレストラン街の11階に下りると、「スカイウォーク」という標識が見つかり、それに従い、幾つかのドアを通ると、駅の端から端まで歩くことができます。ここから、駅内外の建築物と素晴らしい光景に、多くの異なった角度から感嘆できます。これは、本当に壮観であり、多くの旅行者が悲しくも見逃すものです。

スカイガーデン

私は、昨年来何回も京都駅に戻ってきて、街を見渡すこの隠れた屋上の庭にしばしば座ります。四季折々、大階段上の照明は、多彩な芸術家により設計されて、見事に主題を持つ作品に変貌しています。冬には、全てのクリスマスデコレーションと、もちろん、巨大な色彩豊かに飾ったクリスマスツリーに感嘆します。夏には、暑さがたまらないとき、そよ風を楽しめ、通りゆく世界を見ることができます。これら全てのロマンを好む人々に、遥かな山々に太陽が沈むのが見られ、街全体に全ての照明が点くのを見ることができます。日が暮れてからは、この場所は新たなロマンティックな雰囲気となり、若いカップルが集まる所となるのです。

京都駅

京都駅は、京都に到着するときに最初に見る場所で、去るときにきっと最後に見る場所です。でも、一つ確かなことは、京都駅には偶然見つかるサプライズ-驚くような素敵なところ-がきっと、もっとあるということです。


訳:古田 富好

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伝統芸能「能」をもっと身近に(前編)

吉田篤史さん

吉田篤史さん

――「能」とは何ですか?

日本人でも、この質問に答えられる人は多くありません。

室町時代、初代大夫(統率者)である観阿弥(1333 ~ 84)およびその息子である世阿弥(1363 ? ~ 1443 ?)によって確立された「能」は、継承されている演劇としては世界最古といわれる日本独自の舞台芸術です。

約6m四方の本舞台と、そこから左にのびる橋掛かりの二つの空間から成る、シンプルかつミニマムな舞台装置や抑制された能楽師の動き、朗々とした謡と独特のテンポの囃子に引き込まれ、気が付けば目の前に静謐な世界が広がる「能」。その魅力について、観世流の能楽師である吉田篤史(註:「吉」の字の上部が「土」)さんにお伺いしました。

――「能」について一言で表すと?

能
能

「能面(※ 1)と4つの楽器(太鼓・大鼓・小鼓・笛)を使った仮面劇です。歌い舞うことからオペラに例えられることもあります。」

(※ 1)登場人物全員が面をつけるのではなく、シテ(主役)等が神仏・亡霊といった超人間的な存在を演じるときに用います。また、女性の役柄の場合にも用いるなど、役者自身と異次元の役柄に変身するための道具といえます。

――初めて「能」を見る人に、楽しみ方を教えてください。

「確立されてから約650年を経て口語が変化しているため、今日では日本人でもせりふを聞いて理解することは難しくなっています。外国の方も同じですが、まずは劇として見るよりも舞台の緊張感や能楽師の気迫を肌で感じてください。もし前もって準備をするならば、あらすじを把握しておくと内容が理解し易くなります。更に、謡本(台本)があるとより良いでしょう。」

――「能」の演目は中国の故事成語や平家物語に纏わるもの、神仏に捧げる舞など多岐に亘りますが、その中でお勧めの演目はありますか?

「200以上の曲目の中で選ぶのは難しいですが、自分自身思い入れのある曲目としては“鞍馬天狗”(くらまてんぐ)、“船弁慶”(ふなべんけい)、“石橋”(しゃっきょう)、“道成寺”(どうじょうじ)、“土蜘蛛”(つちぐも)を挙げることが出来ます。」

~次号、後編へ続く~

インタビュアー:生田 稔,川井 美登里,Koh
記事:川井 美登里

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日本の伝統 お正月・初詣(錦天満宮)

お正月
お正月

写真:ダニエル・セトレン

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京都に灯る、清らかな火

八坂神社

皆さん、京都のお祭りはいくつ知っていますか?京都にはたくさんのお祭りがあります。特に有名なお祭りは、春の葵祭、夏の祇園祭、秋の時代祭です。夏の祇園祭は、京都の三大祭だけでなく、日本の三大祭としてもよく知られています。祇園祭は「八坂神社」の祭礼です。八坂神社は、冬にもとてもユニークな儀式を行っています。

「をけらまいり」は毎年12月31日の「大晦日」から、翌年1月1日の元旦まで、清らかな火を焚いてみなさんに配る儀式です。八坂神社境内の三ヶ所で火が焚かれ、参拝した人々はその火を家に持って帰るのです。昔は京都の人々は、「かまど」という調理設備を使って料理をしていました。そして、「かまど」に、「をけらまいり」でもらった清らかな火をともしてお正月の料理であるお雑煮をつくり、家族の「無病息災」を祈ったそうです。ほかにも、お正月中に灯すローソクの火にも使われたそうです。

「をけら」とは、キク科の薬草で、その根を燃やすと強烈な匂いがすると言われています。この強烈な匂いが、悪い邪気を祓って、新しい一年を安泰にすごせると考えられていたようです。その「をけら火」は、竹の繊維で編んだ火縄に移し、縄をくるくる回しながら持ち帰ります。

今は各家にガスコンロやIHヒーターがあり、わざわざ自分で火をつけることはなくなりました。また、最近は交通機関は火気厳禁なので、遠くからきた人はもらった「をけら火」を自宅に持って帰ることは難しいようです。その代わり、「をけら火」を燃やしたあとの縄をもらうことができます。これは火事除けのお守りとして人気なようです。

「をけらまいり」は、八坂神社にて、12月31日、大晦日の午後7時半から、年明けの1月1日元旦の午前5時まで開催されています。八坂神社へのアクセスは、京阪祇園四条駅より徒歩で約5分、阪急河原町駅より徒歩で約8分、JR京都駅より車で約15分、JR京都駅バス乗り場D2より市バス206番祇園下車すぐです。

富田 美乃里

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日本の冬至の習慣

冬至は1年で夜が最も長く、昼が最も短い日です。また真昼の太陽の高さが最も低く、真昼の影が最も長く伸びます。今年2013年の冬至は12月22日です。この日を境に、冬の寒さは本格化します。古代中国では、冬至は太陰太陽暦を計算する際の起点として使われていました。この自然現象は暖房や街灯が無かった文明にとっては、もっと神秘的だったに違いありません。それゆえ、たくさんの古いお祭りが、世界の色々な地域で冬至近辺の日にあるのかもしれません。現在の日本人にとって冬至は、冬を健康に過ごすために、柚子湯に入ったりカボチャを食べたりする日です。あなたもやってみましょう!

お風呂に柚子を入れる(柚子湯)

柚子湯

冬至に柚子湯に入ると風邪を引かないといわれています。柚子の黄色や強い香りが邪気を払うとされています。実際、血行促進効果、香りによるリラックス効果があります。江戸時代の銭湯からこの習慣が始まったとされ、今も多くの銭湯が冬至に柚子湯を行っています。家庭でする場合は、そのまま丸ごとの柚子を浮かべるか、半分に切った柚子をメッシュの袋に入れてバスタブに浮かべると良いでしょう。肌が敏感な方は炎症が起きる可能性があるので、注意してください。

カボチャを食べる

かぼちゃ

冬至にカボチャを食べると風邪を引かないといわれています。加えてカボチャ(別名 南京(なんきん))は縁起の良い名前です。“ん”が発音的に「運」と似ているからです。ですから冬至に、人参、レンコン、うどんなども食べます。カボチャは夏から秋の野菜ですが、長期保存できます。昔の人は冬至にカボチャを食べることによって、豊富な栄養を取ることができました。

大原 学
イラスト:Yehua

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七草粥

七草粥

「七草粥」を1月7日に食べる風習は日本の新年行事として定着しています。七草粥は「春の七草」(※1)を刻んで入れた塩味のおかゆのことです。七草はそれぞれ異なる効用があり、いわゆる日本のハーブです。では、なぜ日本の人々は1月7日に「七草粥」を食べるのでしょう。それには、古代中国の習慣、とくに中国の五節句(※2)の習慣と、それが日本の文化として定着していったことが関係しています。

中国では、前漢の時代(紀元前206~紀元後8年)に、1月の1日を鶏の日、2日を犬の日、3日を豚の日、4日を羊の日、5日を牛の日、6日を馬の日とし、それぞれの日にはその動物を殺さないようにしていました。1月7日は人の日として、「人を罰せず、殺さず」を意味します。この頃すでに無病を祈るため七種類の野菜の汁物を食べる習慣がありました。この風習は平安時代に中国から日本へと伝わり、年のはじめに若菜を摘む「若菜摘み」という日本古来の風習と結びついて「七草粥」が登場しました。1月7日の「人日」は日本の五節句の一つです。最初に「七草粥」を食べることは宮中行事として行われていて、やがて江戸時代になり、「七草粥」を食べる習慣は庶民たちの間までにも広まりました。因みに、七草の内容は鎌倉時代の末期に決まったそうです。

「七草粥」には一年の豊作を願うということのほかに、「人日」からきた人を大切にするという思いで、無病息災の願いが込められています。また、おせち料理やお酒で疲れた胃を癒してくれるとも言われています。

日本国内において、地域ごとに異なる「七草粥」の文化が形成されたことも興味深いです。例えば東北地方は寒い気温の影響で、七草をすべて揃えることが難しく、七草の入っていない普通のおかゆを食べたり、代わりにほかの食材でおかゆを炊いたりします。現在、全国のスーパーには「七草セット」が置いてあり、「七草粥」は手軽に食べられるようになりました。さて、2014年のお正月に、「七草セット」を使い、「七草粥」を作ってみてはいかがですか。きっと新たな気持ちで新年を迎えることに間違いないでしょう!

*1 春の七草:セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)

*2 五節句:江戸時代に法制化された伝統的な年中行事を行う季節の節目となる日のこと。五節句の日付と、それに関連する食べ物は次の通り。

 人日(1月7日 七草の節句)七草粥を食べる
 上巳(3月3日 桃の節句、ひな祭り)伝統料理は菱餅や白酒
 端午(5月5日 菖蒲の節句)関東では柏餅、関西では「ちまき」を食べる
 七夕(7月7日 笹の節句)そうめんを食べる習慣がある
 重陽(9月9日 菊の節句)菊酒を飲む

呉 映雪

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kokoka news * * こくさいうりゅういかん ニュース

外国人のためのハラスメント研修会

法律、ビザ、税金、保険や年金などについて、わからないことはありませんか? 心の悩みを抱えていませんか?専門家がみなさんの相談に、お応えします。通訳者もいます。事前に予約してください。

◆日時:12月8日(日)午後1時~5時
◆場所:kokoka 京都市国際交流会館 3F 会議室・相談室
◆申込:075-752-3511

ご意見募集中

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LIKでは、ご意見・ご感想をお待ちしております。

記事のリクエスト、デザインについて、取材してほしい、などoffice@kcif.or.jp までお知らせください。メールをいただいた方の中から抽選で30名の方にkokoka オリジナルステッカーをプレゼントします!

締切:2014 年1月31日

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京都市国際交流会館 図書・資料室 としょレター

オススメの一冊

『京都・禅寺の名庭』

京都・禅寺の名庭

Tom WRIGHT 著, 水野克比古 写真
2010年

京都で人気の観光スポットのひとつにお寺があります。春の桜の季節や、秋の紅葉のころもいいですが、冬に行っても素敵な景色が見られます。特に雪が降った朝などは、庭にうっすらと雪が積もっていて何とも言えない美しさです。

京都では雪が降ってもすぐに解けてしまいますので、じかに見られるのは大変貴重です。この本には四季折々の美しい写真が載っています。季節によって表情を変える名庭をぜひ楽しんでください!

庭園

庭に何気なく置かれた石や木にも、意味があることを知っていますか?全ての季節で美しさを表現する絶妙なバランスで配置され、哲学、自然界などが表わされています。細部にわたって計算されている庭園についてもっと知りたい方には『JAPANESE GARDEN DESIGN』(MARC P. KEANE 著 Tuttle Company、1996)をおすすめします。

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今号を作ったボランティアのみなさん

編集メンバー

東 馨子 / 生田稔 / 大月 友貴 / 大原 学/ 川井 美登里 / 呉 映雪 / 鈴木 翔一朗 / 鈴木 秀利 / 富田 美乃里 / 古田 富好 / 山下 元代 / 湯澤 公朗 / 葉 姿汝 / Karl JANSMA / Sabina CHANG / Tara KENNEDY / Megan ROBERTS / Daniel SETTELEN

WEB版作成

鈴木 翔一朗

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