鴨川は動物の楽園

flag of france

マイク・ペレツ (フランス)


京都市内東方地域を経度で貫く鴨川はたくさんの動物類が観られるので、京都市で私の大好きなところです。鴉(からす)と鳶(とび)に守られるうちに、青鷺、白鷺、鴎(かもめ)等の参加するバレーに目を見張ります。散歩道で客としての私は鴨と鳩と雀に受け入れられて喜びます。一方で天気が晴れたらカワウソも、鼬(いたち)も見ることができます。

私は世界中でロンドンからブエノスアイレスまで川に沿って建てられた各都市へ旅行しましたが、ある都市地域でこれだけ多様な動物類を見たのは初めてです。自然環境の観点から、京都市は世界のモデルに違いありませんね。

鴨川

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医療通訳

京都市南部には中国帰国者(*1)とその家族など、中国語を母語とする多くの人々が住む地域があります。京都市国際交流協会と多文化共生センターきょうとでは1999年から日本語教室や地域住民の交流会を実施していました。この地域には、帰国者が生活する上で必要な通訳を行っている方が2名おり、行政機関・学校・病院等様々な場所で通訳をしていました。

2003年に行った医療通訳の実態調査では、この2名で3か月に300件以上もの通訳をしていました。京都市医療通訳派遣事業は、この通訳作業を、個人の善意に頼らず、組織的に支援するべく始められた事業が元となります。この事業は2003年に京都市国際交流協会と多文化共生センターとの協働事業として始まり、2004年には京都市も加わりました。現在は、京都市内4病院(*2)で年間1500件以上利用されています。通訳に対応している言語には、中国語・英語・韓国朝鮮語があります。

中国語の医療通訳をしている許さんが、今回、取材に応じてくださいました。取材の中で、許さんは医療通訳の難しさや、仕事の達成感を感じるときなどについて話してくださいました。

医療通訳者の役割は、患者と医療従事者との間で交わされた言葉を正確に通訳することです。この正確な通訳のために、通訳者には、患者背景・多文化に関する知識・理解や医療に関する知識など、様々な分野の知識を持つことが求められます。

また、許さんによれば、それ以外にも様々な難しさがあります。たとえば、患者の言葉がすぐには理解できないときには患者の意思や考えを、少しずつ確認しながら理解しなければなりません。また、通訳をする上で、通訳者と患者の関係が親しすぎたり、あるいは患者に信頼されていなかったりしてはならないので、よい関係を築くことが必要となります。

しかし、これらの問題を解決し、医療にかかるうえでの患者にとっての困難を軽減できたときが、許さんにとっての喜びであるそうです。たとえば、言葉がわからず、薬の服用のしかたがわからない患者は、通訳者を介して医師の説明を聞くことによって、薬の飲み方を知ることができるようになります。このように、患者の抱える困難をともに解決できる仕事としての医療通訳に、許さんは喜びを覚えるのだそうです。

*1 中国帰国者:第二次世界大戦の終戦前後における混乱のため、日本に帰国できずに中国東北部に取り残され、後に帰国した日本人。
*2 詳しくは、京都市国際交流協会(Tel:075-752-3511)に問い合わせてください。

鈴木 翔一朗(すずき しょういちろう)
古田 富好(ふるた とみよし)

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「そば切り」とは

日本人は麺類が好きです。特にそば、うどん、ラーメン、夏にはそうめんがあります。その中で,そばは、そば切りとして、江戸時代に、都市において大衆食として普及しました。農村においては、当時は、そば切りは、ハレの日(*1)や振舞のための御馳走でした。土地を選ばず、人手がかからず、2、3カ月で収穫できるため、五穀(*2)の実らない寒冷地や山間、やせ地に栽培されました。まして麦や豆などが、口に入らない人々が挽いて手で練り、団子にして飢えをしのぎました。江戸の町作りのため、多くの労働者・職人が動員されたとき、彼らの労働を支えたのが、安くて手軽に食べられるうどんでした。江戸時代初期(17世紀後半)、東海道をはじめとする、各街道筋の茶店で麺類が売られていましたが、うどん、そうめんが主流でした。看板には、うどん・そば切りと、うどんの方が、さきに書かれていました。江戸初期には麺類の夜売りが行われていましたが、やはり主力はうどんでそばは付けたしにすぎませんでした。しかし江戸中期に「そば切り」が主流となってきました。江戸の「夜鷹そば」に対して、京・大坂では「夜鳴きうどん」が登場しています。江戸は「そば」、大坂は「うどん」が定着したようです(江戸:今の東京)。

手打ちそばは、こねる・練る・のばす・切るの4工程で作ります。「こねる」大きな木製の器のなかで、山芋を数回に分けて、そば粉と小麦粉を加えながら内に向かって、両手で交互に円を描くようにしながら、混ぜ合わせます。パラパラがコロコロになり、やがて大きな塊となります。「練る」両手の甲の筋で、「そば」の塊をのこのこ歩くようにします。端まで「歩き」終わると、ひっくり返して丸め再び先の動作を繰り返します。「のばす」30分から1時間寝かせたそばの塊を、麺棒と打ち粉を使って、均等の厚さの薄い長方形にしていきます。「ころがす」「巻く」「すべらす」など、様々なテクニックが展開されます。「切る」のばした生地を二つ折り、さらに二つ折りにして、最後に三つ折りにして、手打ち包丁で、2ないし3mmに切ります。

そばは非常に栄養のある食べ物です。タンパク質が含まれ、疲労回復・集中力を高めます。ルチンが高血圧の改善、脳卒中の予防、メチオニンが肝機能の向上、ナイアシンが胃潰瘍の予防等、様々な効果があります。そして何よりの効果はビタミンB2が含まれ、美肌に良いことです。

日本には「そば」に関して、いろいろな習慣があります。「引越し」のときには、転居先に荷物を運びいれた時、家主や隣近所に、新しく引越ししてきた挨拶として、そばを配ります。(現在はタオルとか石鹸が多いようです)。そして大晦日には「年越しそば」を食べます。これは「運」が来るとか、長生きするとかいわれるからです。とにかく、そばはズルズル音を立てて食べてください。マナー違反ではありません。

*1 ハレの日:めでたい日
*2 五穀:米・麦・粟(あわ)、豆、黍(きび)(または稗(ひえ))

生田 稔(いくた みのる)

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流鏑馬(やぶさめ)の神事

流鏑馬
流鏑馬の練習

ある2月初旬の、すがすがしい日曜日の午後、私は貴重な体験をすることができました。日本の伝統的な神事を受け継いでゆくために、誇り高い4人の方々がこの古くからの武道を練習している様子を見ることができたのです。彼らが誇らしく受け継ごうとしている武道は、いずれもひとつひとつが珍しいものですが、その組み合わせとなるとさらに珍しいものです。流鏑馬の神事(*1)とは、日本の弓術と馬術とが合わさった、走る馬に乗りながら矢を射る儀式です。5月3日の葵祭の日に、下鴨神社において行われます。

流鏑馬の神事は、かつて英国でもニュースで取り上げられたことがありました。2001年5月に、ロンドンのハイドパークにおいて、世界各国の国賓の前で、神事が披露された時です。また、走る馬に乗って弓を射る様子は、様々な映画に登場しています。なかでも有名なのが、1954年に黒澤明が制作した「七人の侍」でしょう。また実際、弓は日本の歴史において重要な位置を占めています。たとえば伝説上の最初の天皇である神武天皇は、いつも弓を持った姿で描かれています。

平安時代の武家の装束

平安時代の公家の装束


江戸時代の武家の装束

江戸時代の武家の装束

何年もの訓練と高度な技術が必要なのにもかかわらず、流鏑馬の神事での1回の走りはあっと言う間に終わってしまいます。20秒あまりのあいだに、馬と射手は250メートルほどを走ります。その間に、射手は3本の矢をそれぞれ3つの的めがけて射るのです。馬はものすごい速さで走っているのに、彼ら射手が的を外すことはほとんどありません。これはとても高度な技術です。というのも、走る馬に乗る射手は、手綱を持つことなく弓だけを握っていて、また、馬の進む方向ではなく、的の方を向いて走っているからです。この神事をいっそう劇的にするのは、射手が矢を撃つ直前に高い声で叫ぶ「インヨーッ!」(陰陽)という掛け声です。古くからの悪霊も、この声を聞けばたちまち震え上がってしまうでしょう。

日本と同じくらい世界中でも、伝統はよく宗教儀式の形で受け継がれてゆきます。流鏑馬の神事は、こうした伝統や哲学の一つなのです。私は日本の文化のそうした側面を見るという、貴重な経験をすることができました。静かに、けれどもひたむきに弓術の練習に打ち込む彼らのことを、私はたいへん尊敬します。京都に観光に来た人も、京都に住んでいる人も、葵祭で披露されるこの神事を、ぜひとも見に行くことをお勧めします。

*1 流鏑馬の神事:下鴨神社の糺の森(ただすのもり)の馬場で、5月3日に行われる神事で、本祭に先立って祭りを祓い清めるために行われます。観覧は無料ですが、有料観覧席(1席2000円パンフレット付き)も用意されています。

取材協力:下賀茂神社、
特定非営利活動法人 小笠原流・小笠原教場

キアラン・グリーン
訳:鈴木 翔一朗(すずき しょういちろう)

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日本のしきたり どこで靴を脱ぐ?


靴

日本では、昔から入り口で靴を脱ぐ習慣があります。ドアを開ければ、玄関と呼ばれる靴を脱ぐ場所があります。多くは、床より低く、石やタイルが敷かれています。日本では、床に布団を敷いて寝ています。靴についた泥で寝場所を汚したくないのです。

摩天楼では、きれいな入り口でも靴を脱ぐ人はいません。ロビーで下駄箱を見たことはありますか。スーツ姿でエレベーターに乗る人々。靴を履いたままでいいと誰もが思います。高級ホテルでも、豪華なカーペットを敷いた玄関で靴を脱ぎません。客室に入ると、スリッパが用意されています。共同の場所で靴を脱ぐことは失礼なのでしょうか。

私の少女時代は、学校では、玄関で上靴に履き替えていました。私の近くの病院の待合室では、入院患者はスリッパ、外来患者は土足です。私の職場はカーペットが敷かれていても靴を履いたままです。我が家に入れば、夏場は裸足です。

では、日本人が必ず靴を脱ぐ場所はどこでしょうか。それは、和室とよばれる畳の間です。日本全国、畳の上は土足厳禁です。畳の上はスリッパも履きません。ベッドやヨーロッパ風の家具が置いてあるのに、靴をはかないなんて、と思うかもしれませんが、日本の習慣です。暖かくなってきたので、裸足でくつろいでください。それと、銭湯に行く機会があれば、入り口で靴を脱いでください。

山下 元代(やました もとよ)

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kokoka news * * こくさいうりゅういかん ニュース

春!kokokaおもてなし広場

kokoka京都市国際交流会館をあげて、みなさんをおもてなしします。ライトアップや普段は入れない日本庭園開放、期間中の土・日曜日にはミニ万国屋台村やステージ公演もあります☆

  • ◆期間:3月30日(土) 〜 4月21日(日)

外国人歓迎 4月21日開催!

この春から、京都で暮らし始めた外国人のみなさん、ようこそ!外国人歓迎会では、お得で役に立つ情報をたくさんお伝えします。また、外国の方、日本の方、誰でも参加できる交流会もあります。 *説明は、日本語、中国語、英語で行います。

外国人のためのカウンセリング・デイ

法律、ビザ、税金、保険や年金などについて、わからないことはありませんか?心の悩みを抱えていませんか?専門家がみなさんの相談に、お応えします。通訳者もいます。事前に予約してください。

  • ◆日時:6月8日(土)午後1時 〜 5時
  • ◆場所:kokoka 京都市国際交流会館 3階 会議室・相談室
  • ◆申込み:電話(075-752-3511)、kokoka 1階受付

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京都市国際交流会館 図書・資料室 としょレター

オススメの一冊

『國重友美 英漢字® 作品集 御祝 Congratulation』

國重友美 英漢字® 作品集 御祝 Congratulation

國重友美 著
角川書店
2005年

みなさんは『英漢字』(ええかんじ)を知っていますか?日本人でも知っている人は少ないかもしれません。

これは國重友美さんが考えた、『英語で書いても漢字で書いても同じ意味の文字』(本文より引用)だそうです。

漢字の書道作品のように見えますがよく見てみてください。アルファベットを漢字のように書いているのです。正確な『漢字』ではありませんが、意味は伝わるのではないでしょうか。

漢字もアルファベットも同じ文字。言葉の垣根を超えた、これもひとつの異文化交流なのかもしれません。

書道については

書道については『書道 BRUSH WRITING』(杭迫緑舟 著、講談社インターナショナル、1988年)を読んでみてください。書き方の基本から、より芸術的な字まで載っています。

漢字の意味や読み方は『The Kanji Handbook』(Vee David 著、TUTTLE PUBLISHING、2006年)でチェックしてくださいね。書き順も覚えられます。

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今号を作ったボランティアのみなさん

蝶

誌面版編集

東 馨子 / 生田 稔 / キアラン・グリーン / 小松 武久 / 澤村 香織 / 鈴木 翔一朗 / 鈴木 秀利 / 谷中 知世 / 長竹 善伸 / 東田 美優 / 樊 博(ファン・ボー) / 古田 富好 / 山下 元代 / 湯澤 公朗

WEB版作成

鈴木 翔一朗

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